WG - JAPAN - 090916 IDDY Award

2009年 9月16日

カンターラ・イニシアティブ、2009年IDDY賞の受賞者を発表
~国内関連では、野村総合研究所、NTT、Oracleの3社共同開発のアプリケーションが受賞~

本資料は2009年9月15日(米国時間)にカンターラ・イニシアティブから発表された報道資料の抄訳です

グローバルなアイデンティティ管理コミュニティであるカンターラ・イニシアティブは本日、今年度のアイデンティティ技術導入事例最優秀賞「2009年IDDY(Identity Deployment of the Year)賞」の受賞者を発表しました。各部門の受賞者は以下のとおりで、合計6つのアプリケーションが受賞しました。本日、米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCSO誌主催のDigital ID World 2009で表彰が行われました。

概念検証(POC)部門

  • 株式会社野村総合研究所(NRI)、日本電信電話株式会社(NTT)、米Oracle社(3社共同)
  • 独fun communications社
  • オランダGemalto社、英Vodafone社(2社共同)

構築・展開部門

  • 米Google社、米Plaxo社(2社共同)
  • ノルウェー Signicat社
  • 米国国防総省

今年で4年目となるIDDY賞はカンターラ・イニシアティブに引き継がれ、オープンなアイデンティティ管理技術を使用してアイデンティティ管理対応アプリケーションを開発する個人や組織の評価を行っています。IDDY賞は、(1) そのアプリケーションがコミュニティ、企業、政府機関、個人ユーザーにもたらすメリット、(2) そのアプリケーションにより達成されるROI、(3) そのソリューションにより、アイデンティティ窃盗の抑止、法令遵守の促進、ユーザーのためのプライバシー保護の強化などアイデンティティ管理の課題にいかにスムーズな対処が可能になるか、の3点の審査基準に基づいて評価が行われます。

2009年IDDY賞受賞者

NRI、NTT、Oracle

NRI、NTT、Oracleの3社は、OpenIDとSAML間でポリシーの相互運用を実現できる可能性と実用性を実証するアプリケーションが評価され、POC部門で受賞しました。OpenIDとSAMLにはいずれも、アイデンティティ保証情報を伝達するメカニズムが組み込まれています。OpenIDはProvider Authentication Policy Extension(PAPE)を使用し、SAMLはAuthentication Contextを使用します。この2つのメカニズムは論理的には似通っていますが、今回の概念検証まで両者の互換性は実証されていませんでした。このアプリケーションが、既存のOpenIDやSAMLベースの信用証明書(クレデンシャル)を使用するサービスを、どうすれば効率的に増やすことができるかを実証しています。このアプリケーションを概説するプレゼンテーション資料は、http://www.slideshare.net/identeratus/proxying-assurance-between-openid-saml でご覧いただけます。

fun communications

fun communicationsは、世界中で展開する公開ポータルのWebCard Loyaltyの開発が評価され、POC部門で受賞しました。WebCard LoyaltyはInformation Cardをベースとするソリューションであり、「バーチャル・ロイヤリティ・カード」を使用すれば誰でも自社専用のカスタマー・ロイヤリティ・システムを作成できます。ユーザー中心のアイデンティティ管理と、ボーナス・ポイント、パートナーのWebサイトでのクーポンによる販促や割引などのカスタマー・ロイヤリティ・プログラムを組み合わせて1つのアプリケーションを構成します。小売業者とポータル運用業者は自社専用のバーチャル・ロイヤルティ・カードを発行でき、このカードが信頼性の高い認証および許可手段となります。ポータルは個々の要件に応じて変更でき、学生証、図書利用カード、割引カードなど、あらゆる仮想IDカードの発行に対応します。詳細は、http://www.fun.deおよびhttp://www.webcard-loyalty.comでご覧いただけます。

GemaltoおよびVodafone

GemaltoとVodafoneグループのR&D部門は、携帯電話に挿入された、あるいはUSBトークンに搭載された汎用ICカード(UICC、一般的にはSIMカードなど)を使用してOpenIDの認証機能を強化するソリューションの開発が評価され、POC部門で受賞しました。 このソリューションでは、基礎となる認証テクノロジーとして公開鍵基盤(PKI)またはワンタイム・パスワード(OTP)を使用します。これにより、さまざまなデバイスを使用してサービスにアクセスしたり認証を行ったりすることが可能になります。UICC(SIMカード等)はネットワーク対応の暗号化コンピュータとして使用され、IPプロトコルでアクセス可能な認証サービスを提供します。そのため、PC、携帯電話、ゲーム用ステーションなど新しいさまざまなデバイスから、OpenID対応のサイトに安全にアクセスできるようになります。移動体通信事業者は、エンドユーザーがUICCベースのOpenIDシングル・サインオンを利用してWebアプリケーションに安全にアクセスするサービスの提供が可能になります。詳細は、http://www.betavine.net でご覧いただけます。

Google およびPlaxo

GoogleとPlaxoは、ソーシャル・ネットワークへの登録プロセスでユーザー登録成功率を高める「Hybrid Onboarding」ソリューションの共同開発が評価され、構築・展開部門で受賞しました。 このソリューションでは、OAuth、OpenID、Portable Contacts、XRDSなど「OpenStack」と呼ばれるオープン・テクノロジーを組み合わせて使用します。実装にオープン・テクノロジーを使用しているためソリューションの複製が容易で、OpenIDプロバイダー(OP)とOpenID認証利用サイト(RP)がどのようなペアであっても両者間で最適なサインアップ(サービスへのユーザー登録)が実現されます。登録成功率92%のアプリケーションでユーザー・エクスペリエンスが向上し、同時にセキュリティやプライバシー保護も強化されます。このサービスは2009年初めにGoogleとPlaxoによって提供され、現在、数億人のGoogleユーザーが利用可能となっています。このアプリケーションを概説するプレゼンテーション資料は、http://www.slideshare.net/johnmccrea/what-an-rp-wants でご覧いただけます。

Signicat

Signicatはオンライン・ホスト型のアイデンティティ・プロバイダーの開発が評価され、構築・展開部門で受賞しました。このサービスはマネージド・サービスとして北欧諸国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド)の企業や公共機関向けに提供され、北欧地域のeID(電子ID)基盤への安全なアクセスを容易にしています。強固な認証用としてSAMLを、Webへのシングル・サインオン用としてSAMLとOpenIDを、さらにワークフローや署名付きドキュメントの長期アーカイブ用としてeSignatureをサポートしています。このアイデンティティ・プロバイダーは2005年10月に稼働開始し、現在は約30の組織で利用され、1,200万以上の事前認証済みIDへのアクセスを提供しています。詳細は、www.signicat.comでご覧いただけます。

米国国防総省

米国国防総省(DoD)は、Webベースのエンタープライズ・ネットワーキング・ソリューションであるSPOT(Synchronized Pre-Deployment and Operational Tracker)が評価され、構築・展開部門で受賞しました。SPOTは、同省が海外に配備する米軍を支援するため、資産の正確な追跡と管理に使用するソリューションです。DoDとFederation for Identity and Cross-Credentialing Systems, Inc.(FiXs)の協力により、請負業者は複数の信用証明書を必要とするアクセスをSPOTから実行できるようになりました。このシステムは、さまざまな政府機関が発行するID信用証明書や、業界が発行する標準ベースで互換性のある認定ID信用証明書を認証して取り扱うことにより、米国政府、各種国際同盟参加国の政府、それらを支援する業界の請負業者やサプライヤー同士の取引を支援します。SPOTは、DoDが有事に備えて10,439社と締結している現在有効な3,783件の契約を可視化し、12,650の利用者をサポートしています。詳細は、http://www.bta.mil/products/spot.htmlおよびhttp://fixs.org/でご覧いただけます。
今年度の受賞者も含め、IDDY賞の受賞者はいずれも世界のアイデンティティ分野の第一線で活躍し、きわめて難しい技術やポリシーの課題に取り組み、組織や個人ユーザーに各社独自のメリットを提供しています。Aetna、Citi、Deutsche Telekom AG(2回受賞)、eBIZ.mobility、EduTech、NTT情報流通プラットフォーム研究所、UNINETT、ニュージーランド政府、Rearden Commerce、英国政府認証ゲートウェイなどが過去に受賞しています。なお、カンターラ・イニシアティブでは2010年IDDY賞のノミネーション募集を2010年第2四半期に行う予定です。
本資料は、米国時間2009年9月15日に発表された報道資料の抄訳です。原文は以下のURLでご覧いただけます。 http://kantarainitiative.org/wordpress/2009/09/kantara-initiative-announces-winners-of-the-2009-iddy-award/

カンターラ・イニシアティブについて

カンターラ・イニシアティブは、Concordia Project、DataPortablity Project、Information Card Foundation、Internet Society、リバティ・アライアンス、OpenLiberty.org、およびXDI.orgが発起人となって設立されたアイデンティティ管理の団体です。会員構成に制約がなく、誰でも会員になれる点に特徴があります。会員レベルは「無料会員」、「有料会員」、「理事」の3段階に設定され、個人や組織が組織の規模や希望する参加形態に応じて参加できます。会員構成、会員レベル、会費、組織体制の概要は http://kantarainitiative.org/wordpress/?page_id=8でご覧いただけます。また、すべての会員および役員のリストは、http://kantarainitiative.org/confluence/display/GI/Current+Membersでご覧いただけます。

本件に関するお問い合わせ先:

カンターラ・イニシアティブ 国内広報担当 
株式会社プラスワン・コミュニケーションズ 池田 明/田中 義之
TEL:03-3443-1007  FAX:03-3443-1008  E-Mail:kantara-pr@plusonecomm.co.jp